週刊少年ジャンプ連載作品・2020~2023年

 世間はゴールデンウィークだというのに、どこにも出かける予定のない、

金もない、友達もいない、ないないづくしの皆さま、こんにちは。

今日はそんな残念な皆様方のために、お待ちかねのジャンプ総評最終回をアップします。

 

 前回の記事に書いた通り、鬼滅の刃の連載開始年・2016年は週刊少年ジャンプにとって、

怒涛の一年となったが、鬼滅の刃・最終回を迎えた2020年も波乱の年となった。

あれだけ社会現象を起こした作品が終了するのだから、編集部もごちゃごちゃするだろうし、

他の作品も含めて状況が大きく動くのは当然なのかもしれない。

 

 この年は鬼滅の刃の他にも、ハイキュー、約束のネバーランド等の人気作も連載終了し、

看板を張れる作品がワンピースと呪術しかないと嘆くジャンプ読者が急増した。

そのワンピースも含め、ヒロアカやチェンソーマンも最終局面に突入し、近い将来、

終わることが確定している人気作が増える一方、それに続く新作が出てきていない状態だった。

 

 次の看板にと大々的に宣伝、ゴリ押しした八丸もこの年にひっそりと連載終了したのは笑えた。

まあでもジャンプにはこういった危機的状況は過去にも何度かあったが、

なんやかんや次に続く面白い作品が登場してきているわけで、この年も例外ではなかった。

 

 中堅というか小粒ではあるが、アンデット、マッシュル、あやかし、マグちゃん、ロボコ、

高校生家族が始まり、最後に新連載予告のキャラ画がスラムダンクの安西先生にしか見えなくて、

最初は期待してなかったSAKAMOTO DAYSが始まり、頭数だけは揃ったという感じだった。

この中からどれが頭一つ出るかという事だが、やはりSAKAMOTO DAYSだったな。

 

 SAKAMOTO DAYSは暗殺業をテーマにしたバトル漫画だが、他のバトル漫画と大きく違うのは、

バトルシーンの描画と舞台設定がずば抜けているという点だ。

迫力の出る構図とかを意識して描いているし、バトルが勃発する舞台を特に工夫している。

 

 たとえば遊園地で勃発するバトルは、そこにあるアトラクションを有効活用することを意識し、

主人公が敵を倒すキメのシーンは、観覧車に敵をぶち込み、最後の大ゴマで、

ノックアウトされた敵と足を組んだ主人公が、観覧車の座席に対峙して座って終わるという、

素直に『かっけぇー!!!』と思わせる描写で締める。

 

 他にも京都の舞台で芸者とか舞妓さんをうまく利用したり、高速でのカーチェイスで、

スピード感あふれるシーンだったり、現代の舞台をうまく有効活用するバトルシーンが多い。

この辺りは面倒で手間だから、週刊連載のバトル漫画では手を抜く作品が多いんだよな。

 

 ドラゴンボールでは基本、岩しかない荒野みたいなところのバトルが基本だが、

難しい背景描かなくて済む、障害物が岩と木しかないところでの、

大味なドッカンバトルしか描けないバトル漫画が多い。

 

 現代もののバトル漫画だと、基本室内のバトルとか、歌舞伎町みたいな歓楽街、

ビジネス街にあるようなビル群でのバトルで、せいぜい壁やビルの外壁が壊れて、

しょうもない殴り合いが基本だが、SAKAMOTO DAYSは基本、同じような舞台でバトルしないし、

舞台の特性とそこにある何気ないアイテムを駆使し、そこでしかできない唯一無二の闘いをする。

 

 SAKAMOTO DAYSに登場するキャラは個性的だが、それぞれ必殺技とかに頼らず、

個性と舞台特性とそこにあるアイテムを工夫して使って闘う点が、他の作品と違う点だ。

最近のバトル漫画は能力至上主義で、安易な必殺技とかに頼った底の浅い漫画が多いから、

うんざりしていて食傷気味だったが、SAKAMOTO DAYSは見事にマンネリ化を打破してくれた。

 

 俺様の評価は最高ランクだが、ただまあいまいち、一般の読者への受けは現状それほどでもない。

理由は簡単で主人公がデブの安西先生だから、ビジュアル面での評価がされ難い、

オタク受けしやすい美男美女もあまり登場しないから、キャラ面での人気が期待できない。

 

 キャラが無個性というわけではなく、座頭市みたいな異常に強い爺さんがいたり、

暗殺業がテーマという事で、頭のネジがぶっ飛んだイカれたキャラは豊富なのだが、

オタクに媚びたキャラはあまりいないから、そいつらの支援が受けられないのは厳しい。

俺的には満足だが、一般層にウケるようにするにはキャラの工夫が必要かもしれない。

 

 現状はヒット前の鬼滅に似たような状況ではある。

鬼滅もアニメ化前はそこそこで、アニメでヒットしたパターンだから、

SAKAMOTO DAYSもアニメ化が成功すれば、一般層に浸透する可能性はある。

 

 最近のアニメ化の成否は制作会社の力量によって左右されるようだから、

鬼滅の刃のように当たりを引けないと終わり、チェンソーマンのような結果になる可能性もあるが、

こればかりはどうしようもないというか、制作会社ガチャに賭けるしかないな…。

 

 大分SAKAMOTO DAYSを熱く語ってしまったが、その他2020新連載は書くほどの事もないから、

2021年に移るが、この年はチェンソーマン一部が終了し現在二部がジャンプ+で公開されている。

チェンソーマン一部のラストは衝撃的だったが、この作者は奇才で他に追随はできないだろうな。

チェンソーマンはアンチも多いのだが、凡人には理解できない作風だから、ある意味仕方ない。

凡人は理解できないものに畏怖し、警戒し批判する傾向が強いからな。

 

 逃げ上手の若君、ウィッチウォッチ、アオのハコという、微妙な連載も始まったが、

どれもジャンプの看板を張れるような作品ではなく、せいぜい脇を固める中堅がいいところな出来。

2021年、チェンソーマン連載終了後は比較的平穏に進んだといった感じだ。

 

 2022年はドクターストーンが連載終了し、バトル漫画は比較的充実しているので、

ドクターストーンに代わるような文科系の漫画が欲しい所であったが、

あかね噺という落語を題材にした文科系漫画がスタートした。

 

 落語を題材にした漫画は他誌であったりと珍しくはないのだが、この手の漫画で難しいのは、

基本喋りだけの落語の面白さ難しさを、いかに漫画で伝えるかという点だと思うが、

あかね噺では見事に表現できており、落語の難しそうとか地味とかいう印象を、

漫画的な演出や手法でカバーして、エンターテイメント化できている点が評価できる。

 

 2022年は同じ女主人公で話題作という点で、ルリドラゴンという作品も連載スタートしたが、

何があったが知らんが、こちらはわずか数話で休載に入り今現在もまだ連載再開していない。

ある意味でジャンプの歴史に残った作品だが、新連載で速攻休載は過去に例がないと思う。

少なくてもジャンプを30年以上読み続けている俺様には経験がない。

 

 普通は終わらせると思うのが、何故かこの漫画は始まったばかりなのに異様に人気が高く、

編集部も終わらせられないという事情があるのだろう。

確かにオタク受けは良さそうだが、ご都合主義で話が進み、そこまで面白いかといった感想。

まあ面倒な設定や演出を嫌う、いかにもz世代にウケそうな漫画であることは確かだが…。

 

 他にもこの年は、地球の子とか、一ノ瀬家の大罪とか、暗号学園のいろはとか、

色物作品がスタートしているが、どれも微妙で個性的ではあるが漫画としては面白くない。

個性は重要だが、やはりエンターテイメントして読めることが重要で、その点で、

SAKAMOTO DAYSやあかね噺は、個性的であり面白いという点で総合評価が高い。

 

 というわけで、ようやく2023年に追いついたが、4月時点で大きな動きはなく、

高校生家族という微妙なギャグ漫画が終わり、PPPPPPという作者の自慰漫画が終わり、

大東京鬼嫁伝、ギンカとリューナという取るに足らない漫画が終わり、

イチゴーキというゴミ漫画が終わり、実績のある作者の新連載がスタートしたところだ。

 

 黒子のバスケの作者が描くキルアオ、食戟のソーマ作者が描くテンマクキネマが始まったが、

まだ始まったばかりなので何とも言えないが、テンマクキネマは期待できそうだけど、

キルアオは同じ暗殺者が主人公のSAKAMOTO DAYSとどうしても比較してしまいがちで、

薄っぺらさが嫌でも際立って、作品がしょぼく見える。

 

 主人公が本来の姿と違うという設定も被っているが、キルアオはバトルが主体ではなく、

キルアオの『アオ』の部分、青春漫画としての特色を強く出してきそうなので、

ライバルはどちらかというと、アオのハコかもしれない。

 

 まあ、そのどっちかを応援しなければならないのであれば、迷うことなくキルアオだが、

アオのハコは意味不明だが人気があり、10年以上前に連載されていた、

サムライうさぎと同じくらい、俺様の評価と実際の人気が乖離した作品だ。

 

 理由は分かっていて、結局女読者に人気なんだよな。

今ではジャンプ読者の半数近くは女のようだから、そいつらと俺様の感性が全く違うのだろう。

こういう作品も否定はしないが、できれば少女漫画雑誌とか他所でやってほしいものだ。

 

 どっちかを潰せるのであれば、全力でキルアオを支援するのだが、

おそらく潰されるのはキルアオだろうな。

黒子のバスケも女読者というか腐女子に支持された作品だが、こいつらからの支持を得るか、

エロやキャラ要素で男読者を味方に付けるかだが、この作者はそっち方面は苦手そうだ。

 

 まあどうでもいい話は置いておいて、すっかり忘れていたが、

ハンターハンターが遂に週刊少年ジャンプから撤退し、他の媒体で続けることが決定した。

ハンターハンターは連載開始当初から支持していたが、休載しまくりで熱も冷め、

たまに連載再開すれば冗長的な内容で話も進まず、もうどうでもよくなった。

目の覚めない信者達は未だに支持しているが、俺様は二度とこの漫画を目にすることはないだろう。

 

 ワンピースも最終章、ヒロアカとブラクロと呪術も終わりに向かって話が進み始め、

いよいよ人気漫画が大量離脱に向かい始めているが、SAKAMOTO DAYSとあかね噺だけでは、

どうにも戦っていけないから、援軍として更なる人気作の連載が待たれるところだ。

昔から主張していることだが、少年が喜ぶワクワクする王道漫画を期待したい。

 

 週刊少年ジャンプは、アオのハコやルリドラゴンみたいな、

カジュアル漫画がのさばる様な雑誌にはなってほしくない。

脈々と継承してきた週刊少年ジャンプのアイデンティティだけは、汚してほしくないところだ。