ベランダとイスと落下で、ゆめにっき思い出した

 千葉のタワーマンションから、2歳の子供が落下したというニュースを見たが、

ベランダにイスが置いてあったので、それに乗って柵を乗り越えたのではという推察だった。

ベランダとイスと落下というワードを聴くと、どうしても『ゆめにっき』というゲームを思い出す。

 

 ちなみに、本記事は千葉のニュースとは何ら関係ないのであしからず。

 

 この『ゆめにっき』というゲームは、旧ブログで紹介したかったのだが、

勿体ぶり過ぎたというか、記事を書くにはかなりの時間とパワーが必要だと感じる程、

思い入れと衝撃が強かったゲームだった。

 

 フリーゲームで10年以上前のゲームだけど、今でも遊べる環境は用意されているし、

YouTubeとかでもゲーム実況動画とかあるから、気になる人は探してみることをお勧めする。

3Dに作り直された版が、Steamやスイッチでも遊べるみたいだが、

この手のゲームは、きっと別物になっているだろうから見なかったことにする。

 

 ゲームの概要としては、小学校高学年くらいの少女が、夢の世界で様々なキャラに遭遇しながら、

アイテム(エフェクト)を集めるのだが、集めたところで強くなったり先に進めるわけではない。

成長要素もないしアクション性もないし、世界観を楽しむのが主軸のゲームだ。

 

 秀逸なのが、その『夢の世界』に登場するキャラや背景やグラフィックが独創的で、

少女の夢の中という事で、かわいい感じを出しながらも、おどろおどろしい闇を感じる部分もあり、

また、サウンドやSEも、その世界観を盛り上げる作りになっていて、見事にマッチしている。

 

 これらを作者1人で作り上げている点には脱帽するし、天才的なセンスを感じる。

大抵この手のゲームは、グラフィックやサウンドはあちこちのフリー素材から引っ張ってきて、

世界観のミスマッチが起こっていたりするから、ゲームセンスがないとうまく構築できない。

どこかのゲーム会社に所属しているプロの人が、趣味で作った可能性もある。

 

 このゲームは作者が多くを語らず、ゲーム内でも詳しい説明等がないので、

YouTubeやネット界隈では、様々な考察がされていた。

現在ではこういったスタイルのゲームは珍しくないが、その先駆けと言っても過言ではない。

 

 まず主人公の少女は、自分の部屋から一歩も出ない。(出られない?)

ドアの前に移動させると、首を横に振って退出を拒否する。

唯一、ベランダにだけは出ることが可能だが、そこで特にすることはない。

ベランダから見える風景から、マンションの高い階層だという事は察せられる。

 

 夢の世界へはベッドで横になると移動でき、夢の世界でほっぺを抓ると現実に戻ることができる。

現実逃避した少女が、夢の中だけに生きがいを見出しているとか、

部屋を出たがらないのは虐待されているからとか、色々と考察がある。

 

 少女の名前は少女っぽくなくて『窓付き』というのも、考察を捗らせている。

窓付きの隔離病棟にいた(いる)から、『窓付き』と呼ばれているとか、

部屋から出ない境遇や夢の内容から、様々な考察がされている。

ゲーム内で一切説明がないから、ユーザーがゲーム内のキャラやオブジェをヒントにするしかない。

 

 説明がないのは作者が不親切だからとかではなく、意図的にやっているわけで、

ゲームの世界観が秀逸だからこそ、多くの人を魅了し考察したくなるゲームに仕上がっているのだ。

間違いなく世界観ゲーと呼ばれるジャンルで、トップクラスに君臨するし、

俺様の中でかなりの衝撃と影響を与えられたゲームだった。

 

 で、冒頭で話した、ベランダとイスと落下だが、このゲームにも一応エンディングは存在し、

夢の中でアイテム(エフェクト)を全て集めると、今まで存在していなかったのに、

ベランダにイスが置かれているのだ。

 

 まあネタバレは避けたいが、ここまで書いたらどうなるかは察することはできると思うが、

この終わり方がまた、様々な考察を助長させている要因になっている。

夢で目的を達成した少女が、唯一の居場所であった夢でも生きがいを失ったから…とか、

イスは誰が置いたんだとか?色々と考えさせられる終わり方になっている。

 

 考察しても答えや正解はないのだが、考えさせられる世界観に仕上がっていることは確か。

人によっては『鬱ゲーム』なんて評する人もいるが、心をえぐられるのは確かだ。

ただ個人的には暗い方向で考えず、希望はあったんだと考えたいところではある。

色々と考えさせられる秀逸なゲームだった。