部屋に蚊が湧いてきた。
そこそこ高い階層のマンションに住んでいるから、部屋に出現するのが珍しくはあるんだけど、
服か何かに引っ付いて、そのまま侵入してきたんだろうね。
動きがめっちゃ早いから、物理的に仕留めるのは苦労しそうだった。
殺虫スプレー的なしゃれたものも置いていないし、仕留めるのは諦めた。
っていうか別に、無理して仕留める必要もないだろう。
まあ虫嫌いな人とか、肌に赤い腫れものができるのを嫌う人は嫌だろうけど、
大人の余裕というか、俺様はいちいち虫ごときに必死になって時間と労力を使いたくない。
地球は人間だけのものじゃないし、虫の数の方が多いんだから共存しようぜ!
(ただしゴキブリ、お前はダメだ)
クモとかも益虫というか、殺さない方がいいとかよく聞くしな。
アシダカグモとかゴキブリを食べてくれるみたいで、わざわざ部屋に放している人もいるらしいが、
さすがに俺様もアシダカグモと遭遇することはないが、1cmくらいの足の細いクモは時々沸く。
かわいらしいもので、殺さずに部屋で伸び伸びと遊ばせているよ。
まあ知らずに踏みつぶしている可能性はあるが…。
蚊の話に戻るが、朝起きたら案の定、腕に刺された跡が二か所ほどあった。
痒くなるかと思ったら全く痒くならない。
痒くなるのは確かアレルギー反応だったと思うが、蚊によって個体差があるのか?
というか蚊にしては動きが早かった気がするし、蚊特有のプーンという羽音?みたいなのが、
一切聞こえなかったのだが、本当に蚊だったのだろうか?
まあ痒くならないのに越したことはないが、病気さえうつされなければほぼ無害だな。
人間以外で人類を一番殺している種族は、クマやサメ、ハチではなく蚊がダントツみたいだね。
マラリアみたなやばいのを媒介したりして人類を殺しまくっているが、日本はまだ安全だろう。
血を吸うのは雌のみで、子供を産むために必要だとか聞いたことがあるが、蚊も必死なんだよ。
そう考えるとなんだか愛しくなってきて、俺様が養っているように思えてきた。
この蚊の親子の命運は俺様が握っているようで、殺すに殺せなくなってきた。
え?ゴキブリも必死に生きているだって?
知るか、あいつらはダメだ。絶滅しろ。
そんなある日、部屋を掃除している最中、目の前に例の蚊が現れた。
じゃまだったから、動きも早いしどうせすぐ逃げるだろうと思って、掴む感じで蚊を振り払った。
手のひらを開くと、そこには赤く染まった蚊が潰れておりピクリとも動かなかった。
俺とあいつの同棲は、わずか3日で終わった…。
潰した感想としては、俺の血ってこんなに赤いんだといった感じ。
採決する時の血ってどす黒く見えるけど、蚊に吸われた血はめちゃくちゃ赤いのは不思議。
え?愛おしく感じていたんじゃないのかだって?
いや…冷静に考えると虫だしキモいし、人の部屋に勝手に侵入するとかありえないんですけど?
殺されて当然というか、勝手に人の血とか吸わないでもらえます?
迷惑なんで。